あおり運転によって交通事故に遭った場合には弁護士を活用する

あおり運転

交通事故とはいってもさまざまな形態があり、任意の自動車保険を提供しているそれぞれの損害保険会社では、これまでの示談の事例や裁判の判決などをもとにして類型化したものを、実際の保険金の金額を決める上での基準としています。

あおり運転と交通事故

こうした類型はあくまでも過去の蓄積ですので、最近の交通事故の事例とは相容れないケースも少なからず存在しています。特に問題になってくるのが、あおり運転によって相手から受けたプレッシャーによって誘発された交通事故の場合です。

この場合は従来の損害保険会社の基準では、単なる追突事故や右直事故などの、ありふれた分類で処理されてしまうおそれがあります。損害賠償の金額というのは当事者間の過失の割合に応じて公平に決められるべきですので、あおり運転のような特殊なケースに従来の基準を単純にあてはめることは不適切です。こうした場合は被害者として泣き寝入りをしたり、損害保険会社のスタッフの意見に無批判にしたがったりするのではなく、法律にくわしい専門家にあたる弁護士を介在させてトラブルの解決に当たるべきです。

あおり運転とは

あおり運転は前方を平穏に走行している車両に対して、妨害をする意図で危険な運転をすることを意味しています。これらは道路交通法のなかでもいくつかの類型が定義されていますが、たとえば前方の自動車に急接近してもっと速く走行するように挑発をしたり、不必要にブレーキをかけて後続の自動車の進路を妨害したり、対向車や前方を走行する自動車の交通をさまたげる目的でハイビームを継続したり、執拗にクラクションを慣らしたりする行為などが含まれます。

具体的には車間距離保持義務違反、急ブレーキ禁止違反などの違反行為として問われかねないものですが、それだけでは済まない可能性もあります。

近年はこうした悪質なあおり運転によって、高速道路上での交通事故を誘発し、それが悲惨な死亡事故につながった事例が報道され、社会問題のひとつにさえなっています。そのため警察庁でも従来の姿勢を転換して、いよいよ本腰を入れて対応する姿勢を明確に打ち出することになり、平成30年には警視庁や全国の道府県の警察本部長に宛てて、あおり運転の厳正対処を求める通達が発出されました。

この通達のなかでは各地の警察における取り締まりや行政処分、更新時講習におけるドライバー教育の推進などがうたわれていますが、そのほかに目を引く事項としては、これらの運転の態様が相手に対する有形力の行使と認められる場合には、刑法に規定されている暴行罪が適用されるケースがあることを示唆したことが挙げられます。もちろん民事上の損害賠償を請求する場合であっても、相手が刑法犯のような悪質ドライバーであれば、過失割合の認定などにおいても十分に重い責任が課せられるべきものです。こうしたケースでの相手への責任追及をなおざりにしないためにも、弁護士のような専門家の活用はぜひとも必要になってきます。

そのほかにも日頃から自動車を運転する上では、いくつか予防的な措置を講じることが可能です。裁判となれば明確な証拠が求められますので、たとえばドライブレコーダーを車内に設置しておいて、相手の挙動を逐一記録しておくことが考えられます。また同乗者がある場合には、スマートフォンなどで現場の様子を撮影してもらうことなども有効です。自動車保険のなかには弁護士費用特約といって、このようなケースを含めて交通事故をめぐる法律相談や示談、裁判などのために要した報酬金などの費用を保険金として支払ってもらうことができるサービスを導入しているところがあります。もしも不安な場合はあらかじめこうしたサービスを契約しておくことが望まれます。